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アワビ閉鎖循環式陸上養殖の経過

社長@スイケンです。

経過報告を2ヶ月分ためてしまいました。
この間、いろいろありました。悪いことの方が多かった(T_T)のですが、今後に生かせる経験も多々ありました。
先々月までは、順調順調で進めてきた試験ですが、なにせ初めての飼育、水が良いばかりで思い通りに育つものではなかったです。
久々なので長くなりますが、どうかお付き合いください。

前回の個体測定直後、ちょっと水槽内の環境を変えました。
アワビの隠れ家であるシェルターを外し、飼育槽の水面に浮上性の濾材をネット袋に小分けにして浮かべ、ほぼ全面を覆いました。
シェルターの役目は、ほぼ「遮光」だと思っていたので、昼間水槽内が暗くなれば問題ないだろうと単純に考えたのです。また、日々の世話(先々月からは2日に1回)で、水槽掃除のためにいちいちシェルターをひっくり返すのがアワビにストレスを与えているのではないか?とも思っていました。餌の食い方がだんだん低下してきて肥満度が下がっていましたので。
プカプカ浮いてるいわゆる落し蓋みたいなものであれば、そこにアワビがくっつくこともないし、掃除の際に除けるのもシェルターの開け閉めよりは素早くできるので、これは絶対にいい!と思ってました。

でも、それによって餌の食いが上がるわけでもなく、こちらの作業は少し楽になりましたが、アワビが隅っこに蝟集(いしゅう:群れ集まること)してしまい、あまり居心地が良さそうではないとすぐに感じました。
遮光だけの問題ではないですね、明らかに。ある程度狭いということも居心地には関係しているのかもしれません。シェルターを外すことで水槽内のスペースが広くなりすぎ、行き場を失って蝟集に繋がったと思っています。
しかし、人間て駄目ですね。楽になっちゃうとそのまま楽し続けたくなってしまう(ボクだけ??)。
世話の作業が今までよりも楽なもんだから、アワビが居心地悪そうなのを分かっていて「まあ、そのうち慣れるだろう」と元に戻さなかったのです。

初めのうちは、蝟集以外では水質や餌の食いに変化はありませんでした。
ところがです。残餌が段々と多くなり始め、シェルターを外してからちょうど1ヶ月経過したころ、いきなり水が濁りだして、極端に餌の食いがダウンしました。与えた1/3も食べないような。
少し給餌量を減らして様子を見ようと思っていたら、水の濁りは日に日にひどくなり、斃死の数が多くなりだしました。水もなにやらドブ臭い。ひぇ~。
さすがにこれはまずいと思いましたね。このまま放っておいたら全滅すると感じました。
水が濁る=ろ過できていない証拠です。そのときピンときました。これだ!この浮かせている濾材が悪いのだと。

今使っている水槽は飼育槽と濾過槽が一体になっており、循環ポンプによって飼育槽側で吐出された水は底部から上部へUの字を描くように水流を作ってオーバーフローで濾過槽に落ちていきます。
この飼育槽の上部(水面)に浮上性濾材を敷き詰めたものだから、水流はほとんどブロックされてしまい、特にSS分などは濾過槽へなかなか行けずに飼育槽に溜まっていったのでしょう。
何よりも水流が弱くなったので内壁に苔様のスライムが以前に比べてかなり多く付いてしまいました。
ホント、良くない状態です。私はアホでした。楽をしているうちに取り返しのつかない事態に成りかねなかった。
まだ硝化に影響が出るような状態ではなかったのが幸いでした。アンモニアも亜硝酸も検出はなかったです。

「水流」大事ですねー。ホンっとに。アワビの場合は特にそうです。痛感しました。
水流を妨げていた浮上性濾材は速攻で取り払い、すぐにシェルターを復活させました。蝟集と水の濁りは2日ほどで収まりました。
こんなこと、プロから見たら本当にアホな失敗だと思います。しかし、私は閉鎖循環方式における「水流」の大切さを、特にアワビでは非常に重要であることを痛切に学びました。

この期間の成長性は言うに及ばず、10個体の平均値ではマイナス成長となってしまいました。肥満度も最低値まで落ち込みましたね。今月の測定では再度復活はしましたが・・・。
成長

その後の処理区1は斃死率が急激に高くなりました。一時の水質悪化が起爆剤となったのかどうかはわかりませんが、明らかにそれがきっかけで斃死率が上がったことは確かなようです。水がきれいになってもなかなか斃死は止まらず、8月以降の残存率も70%を割り、試験開始当初からの残存率は60%を割ってしまいました。処理区2も80%を割りました。
斃死

一度おかしくなるとその影響が尾を引く、考えてみれば当然かもしれませんが、長い飼育期間を考えると一度のミスが歩留まりを大きく左右しかねず、さまざまなケースを想定して管理にあたる必要性があると思います。

しかしながら、斃死してゆく個体のすべて(殆どではなく)が平均の体長、体重以下で、その殆どがはるかに平均以下の「成長不良個体」なのです。
これらは生きていてもただ生きているだけ、餌は全くと言っていいほど食べていないと思われます。
当然体力がないので、何らかの環境悪化があればそれをきっかけに死んでいくということは十分に考えられるし、斃死は時間の問題なのかもしれません。

ちなみに、処理区1、処理区2における最大クラスと最少クラスの個体を並べて比較してみました。
70殻
70腹
処理区1:左91mm、右78mm

40殻
40腹
処理区2:左71mm、右51mm

小さい方はほとんど育っていません。身も痩せていて殻にすっぽり収まってしまうほど。大きい方は身が殻からはみ出すほど太っています。食べたらうまいですよ、これは。

このように成長に大きく差が出るのはアワビだけのことではなく、魚でも全く同じことが言えます。成長に差が出れば小さいものは間引き、サイズをそろえて飼育する。これは基本中の基本です。
これをやらなければ強い個体だけが大きく育ち、劣等生は自然に淘汰される、自然の摂理ですね。歩留まりを上げるには間引き作業は欠かせません。今回の試験ではそこまでやれる余裕と設備がないのです。

どうしても成長性に差は出るのでしょうが、成長性の差が少ないロットの種苗=良い種苗、ということに尽きますね。
育て方以前に、いかにしてよい種苗を手に入れるのか、究極的には自分で産卵させて種苗作りからやっていくことが一番良いのかもしれません。

今回の試験では、閉鎖循環設備で水質を維持することの検証は十分できましたが、その他の飼育に関する検証については多くの課題が残りました。
今の試験は1年間は続けて、最後に食べて味の確認までは行うつもりです。
飼育密度、歩留まり率の向上、餌の選定、産卵対策等々、課題は山積ですが、これらも是非とも別の機会に検証できればと考えています。


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Author:大洋水研
閉鎖循環式陸上養殖に関する記事を中心に、特にアワビの陸上養殖に関しては実践レポートを余すところなくお届け致します!
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