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アワビ閉鎖循環式陸上養殖~これからの課題~

社っチョー@スイケンです。
いつものことですが、久々なのでまた長くなりますよー。

前々回、カゴの高密度飼育のことを少し書きましたが、先月末よりカゴ高密度飼育の試験を本格的にスタートさせました。今回は新たにクロアワビの種苗を買い付けてのスタート。この後、エゾアワビ、メガイアワビも同時進行で進めます。クロアワビは病気に弱く成貝の養殖物がほとんどないので、脱窒と電解を駆使した水処理で何とか育て上げたいと意気込んでいます。
これまでにカゴで仕切ったところにアワビを入れて飼育しているパターンを何度か目にしていますし、実際カゴ飼育で実績をあげている養殖業者は多いと思います。
ただ、高密度にカゴに閉じ込めて、このカゴをたくさん生簀に入れて閉鎖循環飼育が成り立つのか?水処理の負荷は高すぎないか?掃除はどうする?給餌はどうする?
高密度ゆえ、負荷の問題と世話(ハンドリング)の問題が立ちはだかって容易に実践に移せませんでした。

9月の終わりごろ、北海道で陸上養殖プラント建設工事の合間を縫って、士幌町から浜中町の散布(ちりっぷ)というところまでウニの養殖を見学に出かけてきました。
散布漁協の方々は非常に親切で、いきなりの見学申し入れを快くOKして下さり、船で養殖場まで連れて行ってくれました。散布は海とつながった湖沼が点在する場所で、潮の満ち引きによって湖沼と海の水路は潮が速く流れます。潮が動く場所である程度水深がある、これがウニ養殖に適しているんですね。
ウニはエゾバフンウニ。餌の海藻とともに中仕切りのある丸いカゴにギュウギュウに詰められています。

飼育カゴはこんな感じ。
散布ウニかご 散布ウニ
ウニがいるのが見えますか?ほとんどは昆布に埋もれて見えませんが、カゴ全体で2,000個も飼育されています。
カゴの体積とウニの重量で計算するとカゴ内の水量に対するウニの重量はなんと20%!実はすごい高密度飼育なんですね。餌の昆布が超過剰に入れられているので身動き取れない状態ですが、大体1週間で餌は食べつくされるので、減った分与えるだけ。週に1回カゴを引き上げて昆布を詰め込むだけ。あとは放置プレイ。
これははっきり言って楽です。理想的な養殖の在り方だと思いました。カゴの中の糞や餌カスは潮の動きで流れ出るので飼育環境の悪化もない。ちなみに陸側は淡水なので水路あたりは水面近くは淡水に近く、底の方ほど塩分濃度は高くなるので、水深がある程度あるのが理想なのだとか。

この高密度飼育には衝撃を受けました。
だって、カゴの中の水質さえ維持できてゴミが溜まらなければ閉鎖循環式だって高密度飼育が可能だと思ったからです。
正直、閉鎖循環式陸上養殖は水温調整と機器動力のエネルギーコストが事業採算をかなり圧迫します。したがって、事業のシミュレーションをすると、今の段階(あくまで現段階です)においては単価の低い魚種ではなかなか採算が取れないという試算になってしまいます。
実はぶっちゃけて言えば、我々が半ばアワビに特化して養殖の研究をしているのもそういう理由が一端にあるからなのです。なんといってもアワビは高単価ですから。
しかし、そのアワビでさえ、飼育密度を低く設定すると小規模生産では到底採算が取れない試算となります。まずは一番条件の良い魚種で成功させ、そのうえで採算を圧迫する要素を潰していくしかないと思っています。それがやがて広く多様な魚種に応用できると信じています。

ともあれ、ウニ養殖の刺激を受けた我々は、士幌に戻り、パートナーの小泉先生と日夜高密度飼育について意見交換をしました。そして、実際にカゴ飼育の試験を始める運びとなったのです。

完成した試験区は、こんな感じ。
カゴ飼育水槽 ナマコ
以前から使用していた水槽を改造しました。糞の掃除用にナマコを入れましたが、あまり食べないし、結局ナマコもモズクみたいな糞を出すので、そんなに意味ないかも。

カゴに入れたアワビの様子。底面にまんべんなく敷き詰める程度。
カゴアワビ
これでカゴの中の密度は約15%です。
一つ一つのカゴに配管からの水流を間近で当てているのでカゴの中にゴミが溜まらず、斃死率も激減!すごくいい感じです。量産だとこんな小さなカゴではハンドリングが悪いので、もう少し大きなカゴにしようと思っています。とにかくいい感じ。
これがうまくいけば高密度飼育の課題はクリアできる!密度の壁越えは少し見通しが立ってきました。

そしてあと二つある大きな課題の一つは、「餌」です。
餌をどうするか?配合飼料でやってたんじゃないの?配合でやればいいじゃん。
そういう声が聞こえてきそうですが、高密度飼育の場合、配合はかなり厳しいです。配合飼料の良さはたくさんあります。保管性はまず最高で、どの餌よりもいい。良く育つように調合されているから成長性も多分一番良いのではないかと思う。ではなぜ・・・。
一番の問題は「腐敗が早い」こと。給餌から3日経過すると飼育適水温では配合飼料は腐ってしまいます。その臭いこと…。残餌は必ず出ますから、給餌するときに必ず掃除が必要で、ましてやカゴにちりばめられた配合のカスをきれいに取り除くのはたいそうな労力です。これは前々から頭を痛めていたことです。
成長性をよくするために大豆タンパクなどを配合して栄養価は非常に高いのですが、これが腐りやすく、水質と飼育環境を極端に悪化させます。閉鎖循環式にはまず不向き。

そこで、我々は保管性もそこそこ良い乾燥昆布に目を付けました。
餌
左から配合飼料、乾燥昆布、乾燥アイヌワカメ、生クロメ

乾燥昆布は家庭で出汁に使われるものと同じ。これは水で戻すとマンニトールという旨味成分の多糖類がほとんど流出してしまい、生に比べてかなり栄養価が損なわれることは分かっています。ほかに、重要な成分としてアルギン酸がありますが、仮にアワビがアルギン酸で成長してくれるならそれでも良いと思いました。
水で戻す前と戻した後では成分にどういう変化があるのかは現在調査中です。

しばらくは乾燥昆布での給餌を行っていましたが、これは給餌してから3日目にはブヨブヨにふやけて溶け出してきます。さすがに昆布は大好物なのか、アワビは良く食べますが、食べつくす前に残餌が腐りだします。
アイヌワカメという雑海藻、これは昆布の敵で、生活史が昆布よりも長いため、昆布の漁場を荒らす筆頭に挙げられます。散布の漁協でも頭を痛めていました。
これも良く食べますが、基本的にワカメなので茎が固く、昆布よりは1日程度持ちますが残餌が多くなります。結局は腐ります。

そして生クロメ。
これは松山から取り寄せました。これが驚くなかれ、生の海藻は全く腐らない。多分、1ヶ月以上行けるのでは?
アワビが食べつくすまで入れっ放しにしておけるのです。餌を入れたら無くなるまで放置プレイ。糞は水流がカゴから出してくれます。これは・・・。散布のウニ養殖と同じじゃないですか!
生クロメ、すばらしい。陸上養殖工場のハンドリングを飛躍的に向上させる餌なのです。さあ、これをどうやって安定的に調達しようか?大規模養殖でどうやって大量に調達しようか?

すでに手は打ち始めています。
これがうまくいけば絶対にアワビの高密度養殖はうまくいくと光明がさす思いです(いまのところ)。
生クロメ調達物語りは多分年が明けたらこのブログで進捗を報告できるでしょう。

そしてもう一つの大きな課題、「種苗の調達」について書こうと思っていますが、さすがに長すぎて良くありませんね。種苗に関する計画も熱いものがあるので、近々アップします。
今日はこの辺にしておきます。

書き溜めして久々の登場で長い文章になるこのパティーンをお許し下さい。
それではまた。

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Author:大洋水研
閉鎖循環式陸上養殖に関する記事を中心に、特にアワビの陸上養殖に関しては実践レポートを余すところなくお届け致します!
陸上養殖技術に興味のある方、陸上養殖ビジネスを本格的に立ち上げようと検討されている方、どしどしコメントしてください。

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